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2008年10月10日 (金)

刹那主義

なんとも我ながら移り気な性格だと思う。

なにかあるたび、いやなにもないときにも。

アイツが悪いわけはない。むしろ精魂込めて尽くしてくれたはず。

それなのに、だ。

ひどいときには半年ごと、なんてこともあった。

やりきれない自分をなんとかリセットしたかった。

もちろんそんなことは言い訳だ。

言い訳ついでに私自身はその時その時精一杯愛してきたつもりだ。

どれが一番?そう、それぞれにいいところもあった。

しかしやがてこんなことを続けるうち、別れにあまり感傷を持たなくなった。

馴れというのは恐ろしい。

いい悪いは別として、やはり最初の別れが最も悲しかったのかもしれない。

次こそは、次こそは大事にしよう。

せめて2年間は。

新しい携帯電話。

2008年8月16日 (土)

sweet20

妻に指輪を買う事にした。

月並みだが日頃のお礼というやつだ。
結婚して20年になる。
一度結婚に失敗して臆病だった私。
ひとまわり下の彼女に押し切られるように再婚した。

まだまだあどけなさが残る彼女に私ときたら
いつも世話になりっぱなしだ。
私のことを知る彼女。
それに反比例するかのように彼女のことを知らない。
いや理解しようとしなかったのだ。


世間では結婚10年目にダイヤを買うことも知らなかった。
よく言えば仕事しか見えてない男。
せめて感謝の意を込めてダイヤの指輪をと奮起したものの
彼女の趣味もわからない始末。

しかし、不器用ながらもそしらぬ態で例の有名宝飾店に
連れ出すことに成功。


妻ははっきりとは言わなかったが
ある指輪の前で立ち止まり、しばし茫然。


なるほど、これか。
しかしそれほどまでに宝石というものは
女の心を惑わせるものらしい。



あとはプレゼントを渡すのみ。
それらしい演出、セリフも用意している。


「20年目は贅沢にいこう」


当日、テーブルにはグラスが2脚。
たぶん私の顔は一瞬歪んだに違いない。

実はアル中の父をみて育った私は酒を嫌悪していた。
決して飲めないわけではないのだが。


それを察してくれた妻は酒の話をしなかった。
いつしか妻も酒嫌いだとばかり。



しかしまあ今日くらいはいいだろう。
シャンパンで乾杯。


シャンパンは人を陽気にさせる。
聞けば妻はむかしはよく飲んだらしい。
とりわけこのシャンパンを愛していたそうだ。



韜晦、そんな言葉が浮かんだ。
どこまでも愚かだった私。



世の中にはこんな楽しい酒もあったのか。
遅ればせながらこれからはお相手いたしましょう。

そんな愚にも付かない軽口を叩く私。




妻を喜ばせようと企んだこの計画も
実際は私の方が今まで以上におそれいってしまう結果に。




もごもごとありがとう、といって指輪を渡した。
次の日、あれだけ考えたキザなセリフも
日の目をみることはなかった。



妻に喜んでもらえるようになるのは
もう少し時間がかかりそうだ。

2008年6月 5日 (木)

笑いの公務員

閑静でもない住宅街のはずれにあるバーでのお話。
どこにでもあるつまらないバー。
でもなぜか本音がでてしまう。
ご安心を、秘密厳守がここのモットー。

たまに不思議なこともおこります。
なにやら話が聞こえてきました。

退屈しのぎに少し聞き耳をたててみましょう。



「意外でしょうが私これでも公務員なんです。
 それも国家公務員。
 
 詳しくは明かせませんがね。特別な任務に当たってます。
 ま、ばれてもべつになにもないんですけどね。」


たまにふと現れる普通のおじさん。
どこか憎めない、そしていつも軽妙なトークで
場を盛り上げてくれる。


「あ、申し遅れました。
 私、目黒徳三と申します。

 実は今も公務中です。
 仕事内容は笑いで国を裏から支える。


 って、少し大袈裟ですね。
 私にとっては趣味と実益を兼ねた仕事です。

 心のスキマをスイッチオンで塩なすりつけて広げますねん。」



う〜ん、笑いのつぼは人それぞれ、ということだろう。





「こうやってつまらんトークしてるうちに周りの人たちは
 イラっとしつつもストレス発散するらしいですわ。


 ま、私には難しいことはわかりませんが
 養成機関でそう教わりました。」



どこまでホントなんだか。
しかし、そんなことは口にはださない。




「私の採集目標はその人の笑いの才能を開花させること。
 笑いは、堅い殻に覆われていることが多いですからね。


 よくあるじゃないですか。
 あ、この人とはウマがあう、
 いつもより面白いこと言ってる、なんて時が。



 実はアレ、我々の機関の仕事だったりします。」





退屈な夜に少し灯りがともったようだ。


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2008年5月23日 (金)

疑問 違和感

たまに寄るコンビニ。
いつも寄るコンビニではない。
なにかの用事のついでに立ち寄るコンビニでの出来事。

立ち読みはできるだけしないようにしている。
興味深いのは買う。
それ以外は買わない。

少し興味ある、とか
何だろう?、という買うまでも無いけど
気になるというのだけ少し拝見。

大概は買わない。

驚天動地の発見がいつもあるわけではない。
特に用事があるわけでもない場合にも利用してしまう。

しまいには何を買うか悩んでしまうほど。
さして興味ないコーナーまで見学するはめに。

意味の解らない悩みを抱えレジへ。

なにかの衝撃が走る。



一目惚れ?
いや違う。

しかし、少し似た感覚。

「気をつけろ!」と心の声が。



おどおどする自分がいた。





少し考えてみると謎は解けた。
レジの女性が昔の彼女に似ていたのだ。
彼女は遠くの町へ引っ越したはず。

謎が解けた安堵感とともに新たな疑問が。


他人の空似ではすまされないほど似ている。
もしや妹?

確かめるのも気恥ずかしい。



それにしても似ている。
まさか本人では?

それならばなんらかのアクションがあるはず。



もしや一種の復讐?





ま、まさかね。






昔の記憶が甦る。
似ている、考えれば考えるほどに。



確かめるのは簡単だ。
しかし、そこは便利なコンビニ。
へたすると不便なことにも。




本人なのだろうか?


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2008年5月19日 (月)

目覚め

混沌とした朝がやってきた。

鳩の鳴き声で今日も起こされる。
同じ鳥類なのに小鳥のさえずりとは大違い。

決してさわやかではない朝。
できれば訪れてほしくはない朝。



俺の朝はエスプレッソではじまる。
せめてなにか楽しみを、というほどのことでもないが。


水はそこそこでいい。
浄水器で充分。
ま、それもいろいろあるのだが。

エスプレッソマシンも普通のでいい。
一杯、二杯なら高級なのは必要ない。

やはり重要なのは豆。

横道にそれるが
エスプレッソが美味い店は料理も美味い。
コーヒーはそこそこでも
エスプレッソが美味い店というのは
あまりない。

そういう厄介な存在なわけだ。


本場イタリアの豆を使えばいい、なんて
簡単な話にはならない。
一般に深煎り豆を使うが
あれは多分悪い豆をごまかすためだろう。

なんせコーヒーの3倍は豆を使う。


好みでは浅煎りまたは中煎りの豆。
それもハンドピックといって
悪い豆を手で取り除く作業をしている店の豆。


いい豆は細かく挽いても嫌味がない。



それを一気に口に放り込み一日がはじまる。




電源を入れる。





ん?つかない。
長年ハードに使い込んだせいか?
寿命がきてもおかしくはない。

とりあえず電話を。





おや?話し中。





まだサービスセンターも営業してないようだ。

これしきで慌てる俺でもない。
音楽でも聴いて落ち着こう。




鳴らない。






おかしい。
もしや平和な日本に異変が?






あせるな、あせっては負けだ。
まずは外にでて状況を把握しよう。


ふとポストに目をやると

「送電停止」の葉書が。
どうやら料金払ってなかったらしい。







人は俺のことを時代遅れのハードボイルドという。
これしきのことで慌てる俺じゃない。

大丈夫、まだ要の水道は止まってない。







混沌とした朝のはじまりだ。




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2008年5月 2日 (金)

日和

「もうすっかりアレ日和やねぇ」


「アレってなんですのん?」


「あーっと、えーっと・・・」


「そんな柄でもないアート日和?」



「ん?そうそう、それ」



「ほんで?」


「いやぁ、あったかくなるとウズウズしてねえ。
 アレに」


「またアレかいな。で、なに?」


「わからんか君。長年やってるワークライフやがな」


「あぁ、ライフワークね」


「もうわからんやっちゃなぁ。
 ハイクやがな、ハイク」


「俳句?そんなん初耳やがな」



「そう?その世界では有名よ」


「ほんまかいな、で、どんな句を書くの?」



「ク?なにそれ?いや僕はただ風を感じるだけさ」



「なるほど、感じたことを表現するわけやね」



「ん?ようわからんけど
 ま、事故も多いしね。危険なもんです」



「え?なんで俳句で事故。
 出来不出来でけんかでも?」



「なんかかみあわんなぁ、君知ってるやろ?
 僕といえばミスター単車やないか」



「なんやバイクかいな!
 アートゆうたやん」


「しらんがな」



「なんかおかしい思たわ」


「いやぁついにね。勝ったんですよのぞみに」


「ええー!300キロに」


「そうそう、あの高速でちらっと並ぶのです、ヤツと。
 僅差でしたけどね。

 ま、ゆうても勝ったのはエレガントさですけどね」




「もうよろしわ」


2008年3月28日 (金)

紅いスイートピー


「こんなプランどうですか?」

旅行者の担当にすすめられるまま参加したツアー。
昭和の名曲をイメージしたツアーだそうだ。


紅いスイートピーツアー。
なになに、パンフレットによると

初々しいカップルに朗報!
春色の汽車で海へ。
淡い思い出を演出いたします、だと。



イメージしましたよ。春色の汽車。
ポカポカ陽気ののどかな風景を走るパステル調列車。


実際は
花見行楽客でごったがえす
ワンカップゴロゴロの酔っ払い満載列車でしたよ。
すえた酒とするめの混ざり合った臭い。
怒号のような嬌声。


もうげっそり。




たしかに思い出にはなりましたよ。
悪いほうに。








あとでわかったことだが
スイートピーの花言葉は「別離」




たしかにその通りになりましたよ。






別れたいカップルにはお勧め。







そうみえたとしたら
あの担当なかなかやるな。



2008年3月19日 (水)

春雷

変に希望を持つだけに春の嵐というのは厄介な気分になる。




10代のころもそうだった。
なんの根拠もない期待感
不安、寂しさが入り混じる。

バイクに乗ってるときはそんな憂鬱さもいくらか
まぎれていた。

わけもなくバイクに乗っていた。
楽しくて堪らなかったのかもしれない。
ひとりでなにかを考え始めてたのかもしれない。


思い切って高速に乗ってみた。
あてはないけれど。


天気予報に騙された。


突然の大雨。
容赦なく降る雨は痛かった。

別に濡れるのは苦じゃなかったが
雨が痛いとはこのとき知った。

まるで機関銃で狙い撃ちされている気分。
SAまで止まるわけにもいかず走り続けた。

あるときから楽しくなってきた。
新しい自分、なにかを洗い流して生まれ変われる
ような気がした。


やがて雨はやみ、空は晴れ上がった。





特になにも変わったことは起きなかったが
なにかひとつ成長した、と。

神の啓示、そんな大袈裟なもんじゃないが。










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2008年3月16日 (日)

働き蟻

      「はたらき蟻」


おや?ナウマンちゃんがなにかを観察してるようです。
なるほど、アリさんを観察してるのですね。


「おもしろいかい?」
その声はモハメドおじさん。


「うん、アリさんにはね、一生懸命働いているアリさんと
 さぼってばかりいるアリさんがいるね。

 なんかずるいね。さぼりアリ。」


「そうだね、それがアリさん社会の仕組みなんだろうね。
 ある偉い学者さんの研究によると
 さぼりアリを取り除いても、はたらきアリの中から
 またさぼりアリがでるそうだよ」




「ふ〜ん、でもだんだん数が減っていって
 ぎりぎりの人数になったらどうなるんだろう」



「え!それはどうなんだろうね。
 こんどアリさんにきいてみよう」



「おじさん、アリさんとおはなしできるの?」




「う、いや、できないけど」




「な〜んだ、おとなっていいかげんなんだね」




「そうだね、言い訳ばかりうまくなるのが大人だね」





「おとなって大変だね。
 ずっと子供でいたいなぁ」




「おじさんもそう思うよ。
 楽しいときは知らず知らず過ぎてるからね」





「おなかへった」


「じゃ、そろそろ帰ろう」




夕焼け小焼けで日は暮れて〜。



       
             つづく



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2008年3月15日 (土)

苦渋の選択


君とは別れることにしたよ。
苦しみぬいた末の決断。



君も薄々は・・・・、いや全て僕が悪いんだ。
近くにいてもすれ違いの毎日。
君がふて腐るのも無理はない。




気持ちが冷めたわけじゃない。
嫌いになったわけじゃない。


君への愛は永遠さ。
信じてもらえないだろうけど。




君と過ごした健康的な毎日のことは忘れない。
ある意味チャレンジでした。
四苦八苦したり、あわてて道具買い揃えたり。

君とふたりで育んだあの甘酸っぱいトキメキは
まるで昨日のよう。

とても辛いけど終わりにします。





ありがとう、そしてさようなら





















僕のカスピ海ヨーグルト。




※自家製ヨーグルトを油断して腐らせてしましました。



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